大市民日記#1(柳沢きみお)

小市民ならぬ「大市民」として、作者の分身である主人公が自らのこだわり、ライフスタイルについて語る一冊。所々で主人公が社会に対して爆発させる怒りは、最初期の『ゴーマニズム宣言小林よしのり)』を彷彿とさせる。しかし、あくまでも好みと問題として割り切れるし、同調出来る論調でもあるので腹も立たないのが『ゴー宣』と違うところ。拝金主義に警鐘を鳴らし、健康と個人的グルメを説くあたりはさすがに年の功を感じさせ、納得させられる。ライブドア事件以前、ほりえもんブームのただ中から公然と堀江貴文氏を「ぶたえもん」と呼び、酷評していたあたりは慧眼と言うよりも、それを声高に主張出来るだけのダンディズムがあったと言うべきだ。
既刊『大市民』や『THE大市民』を読んでからの方が楽しめるが、一話一話が独立しているため、どこから読んでもそれなりに楽しめる一冊。

大市民日記 1巻 (ニチブンコミックス)

大市民日記 1巻 (ニチブンコミックス)