弓道士魂 -京都三十三間堂通し矢物語-(平田弘史)

平田弘史は、私の最も敬愛する作家の一人である。
そして、その平田の中編で最も好きな作品がこの『弓道士魂』である。
平田弘史全集』は全て所有しており、『弓道士魂』も収録されていたのだが、今回出版されたものは『弓道士魂 完全版』らしい。
いつもこの手の本(マイナーチェンジ再販)には悩んだ末、騙される。
いや、騙されまくっている。
今回も騙されることを承知の上、みずてんで2520円を支払った。
漫画本一冊としては非常識な値段であり、また、既に所有していることを考えると馬鹿らしいが、平田信者なればやむなし。
すると、既刊本には入っていなかったエピソードが3話程入っている。
「完全版」と言いながら、既刊本とほとんど変わらぬ本が多いことを考えると、望外の当たりである。
これらエピソードは、連載時には入っていたものの、既刊単行本発行時には編集者(?)の判断で削除されたものであり、この評価が難しい。
既刊の方が贅肉無く、締まりがあった感じもするし、今回の完全版は、話に幅が出たとも言える。
どちらが良いかと言われても即答出来ないが、平田信者としてはこの『完全版』を読んでおかずばなるまい。
そして、平田作品未読の漢(おとこ)には是非とも読んで頂きたい傑作。