シグルイ#2(南條範夫/山口貴由)

時代剣豪漫画。原作は『駿河城御前試合(南條範夫)』で、駿河掛川を舞台としている。出てくる地名はみな思い当たるが、現状と作品内の描写がどうもかみ合わない。日坂宿とか逆川集落の規模は、往時でもそんなに大きくはなかったろうに。山口貴由の原作付き作品は始めてだと思うが、本作ではいつも挿入されるギャグや下ネタがない。男性の精神性や肉体に執着する山口の作風からすると、ギャグや下ネタの無い方が似つかわしい。
西洋的な筋肉美を描写する絵師は、原哲夫ふくしま政美など枚挙に暇がないが、東洋的、日本人的な筋肉美を追究する絵師は池上遼一山口貴由谷口ジローぐらいのものじゃないかな。池上の描く肉体は本人の言うとおりブルース・リー的であり、西洋人的な筋肉の付き方とは明らかに異なる。谷口の描く筋肉も明らかに日本人体型だが、鎧としての体脂肪を多くまとったプロレスラー的であり、リアリズムを感じる。山口の描く肉体は一撃必殺の思想なのか、体脂肪率5%もなさそうだ。
今、一番熱い作品の一つ。

シグルイ 2 (チャンピオンREDコミックス)

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