Paradox

yano_zeon2007-10-16

先日、湯豆腐を作った。
土鍋に昆布を敷き、水を張った(1)。
豆腐だけでは寂しいので、白菜とエノキ、舞茸も入れた(2)。
彩りも考え、冷蔵庫に残っていたニンジンも入れた(3)。
ここまで来ると、なんとなくダシが昆布だけでは足りない気がして、鶏肉も入れて見た(4)。
会社でそんな湯豆腐の話をしたら、皆から「そんなもの湯豆腐と言わん」と言われた。
確かに、鶏肉を入れた時点(4)で超えてはいけない一線を越えてしまった気がするが、同僚達によると、昆布と豆腐以外のものを入れた時点(2)で湯豆腐ではないと言う。
主観だけでは論がまとまらないので、いろいろと湯豆腐の定義を調べてみた。
新明解国語辞典では「四角に切った豆腐を、昆布を敷いた鍋の中に入れて熱くし、しょうゆ・薬味をつけて食べる」とあり、同僚達の定義(1)と一致する。
Yahoo!辞書では「豆腐を、昆布などをだしにした湯で煮た料理。醤油につけ、薬味とともに食べる」とあり、「など」を拡大解釈すれば豆腐さえ入っていれば全て湯豆腐と解釈できる。
Wikipediaによると「豆腐、水、昆布」だけが材料であり、「ハクサイや鱈の切り身を煮る場合もある」が、「あまり味の濃いものをいれると淡味が身上のこの料理が台無しになってしまう」とある。
Yahoo!グルメで湯豆腐のレシピを見ると、「絹ごし豆腐、白菜、菊菜、生シイタケ、エノキ、ニンジン、昆布が材料として挙げられており、これまた豆腐さえ入っていれば何でも有りな感じである。
http://recipe.gourmet.yahoo.co.jp/E100201/
そう考えると、狭義の湯豆腐(豆腐と昆布だけ)と広義の湯豆腐(豆腐が煮られていればほかに何が入っていても良い)があり、同僚達は狭義の、私は広義の湯豆腐を指していたようである。
こんな会話をしていて、
「砂山のパラドックス(述語の曖昧性から生じるパラドックス)」

テセウスの船(ある物体の全ての構成要素が置き換えられたとき、基本的に同じであると言えるのか)」
を思い出し、同僚達にその話をしたのだが、誰も聞いてくれなくて寂しかったことよ。