トゥルーデおばさん(諸星大二郎)

本当の意味での「創造」する余地なんてもうない。過去にある素材の分解+再構築をもって創造と言い、その組み合わせが過去に例を見なければ独創的と言う。諸星大二郎はいわゆる「伝奇物」と言われる分野において独創性を発揮してきた。神話、妖怪譚、伝説などを分解し再構築した視点と表現力にこそ価値がある。日本神話、クトゥルー神話インドネシア神話、中国神話、民間伝承などを素材にしてきた諸星が今回素材としたのはグリム童話である。グリム童話の「童話」と呼ぶにはためらうような残虐性、理不尽さなどを諸星独特の味付けで漫画化しており、久々に諸星の本領を発揮している。次には是非ともシャルル・ペローものを題材にして欲しいものだ。

トゥルーデおばさん

トゥルーデおばさん