目の玉日記(小林よしのり)

昔、ボルネオのジャングルの中で洞窟の探検をしていた時、一番付き合いが長く、頼りにしていた直接の後輩、オサムの目が見えなくなりつつあった。
しかし、彼は、探検も山場を迎えていたその頃「失明しても悔い無し」と思い、我々にそれを告げず、一人で頑張っていた。
そして、片眼がほぼ見えなくなるまで我慢した後、「このまま事故でも起こしたら隊の皆に迷惑がかかる」と思い直し、遠征隊の隊長だった私にそれを告げた。
林道を四駆で何時間もかけて近隣の街まで彼を送り返し、診断させた所、彼は緑内障で、点眼薬による治療と、ジャングル内部での過酷な生活からの解放によって、快方に向かい、探検終盤には再度現場に戻って来た。
それ以来、どうにも緑内障白内障が気になる。
さて、本書は、小林よしのりの闘病漫画である。
癖が強く、思想色の濃い芸風の彼にとっては久々の思想色抜きのエッセイ漫画である。
彼は久しく、自分がど近眼だと思っていたらしいのだが、あまりにもひどいので医者に行った所、片眼は緑内障、片眼は白内障だと診断された(後に両目とも白内障だと診断される)。
目が商売道具の漫画家であるから、手術自体、それから手術の失敗を恐れ、点眼薬による治療で済ませようとするが、病状はどんどん進行し、結局は手術せざるを得なくなる。
そして、手術終了シーン以降、突然カラーページを用い、色合い鮮やかな世界への喜びを表現する。
初期発見、初期治療が大切だよね、と言うありきたりな教訓ではあるが、漫画特有のビジュアルを伴うストーリー展開により、テキストだけの諸作よりもインパクトは強い。
しかし、小林よしのりが「視力を失ったら繊細な作画が出来なくなる」と懸念するのは漫画家なればごもっともだが、彼の画力を見るに付け「原作に専念すれば??」と要らぬ忠告をしたくなるのは私だけだろうか。
視力の低下に悩んでいる方には一読をお勧めする。

小林よしのり 目の玉日記

小林よしのり 目の玉日記