愛・水族館 -柏木ハルコ短編集(柏木ハルコ)

柏木ハルコの短編集。
いかにも小学館好みの線の整理されたアニメ絵で描かれる奔放な性や裸体が彼女の特色である。
『いぬ』でのブレイク以来、柏木ハルコは「エロコメ作家」として認知されているかも知れない。
しかし、この短編集を読めば、柏木ハルコが決してエロコメだけの作家ではないことが分かるだろう。
全体的に未熟さが、SF系の短編には科学知識の不足が顕著にあらわれているが、それを補う熱情があふれている。
「性に逃げず、性から逃げず」的な作家性を有するが故に、編集者主導でエロコメ系作品を描かされているのだろうか。
表現力、構成力を得た柏木ハルコが、初心に立ち戻り、「性に逃げず、性から逃げない」独創性あふれる作品をものする日を待ちたくなる、そんな短編集である。

愛・水族館 (ビッグコミックス)

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