カタリベ(石川雅之)

石川雅之は、私が最近注目している作家であり、既刊単行本はいまだ4冊しかないが、全て購入している。
既刊4冊のうち2冊は醸造系学園物、1冊は歴史物、1冊は短編集であり、いまだ自分の芸風、適性を模索していると言えよう。
さて、本作は、倭寇が跳梁跋扈する南北朝時代東シナ海を舞台とした伝奇物である。
時代考証、ストーリー展開共に、意欲は感じるものの、未熟と言わざるを得ず、主人公のキャラが弱く、狂言回しの役すら果たしていない。
とは言え、迸る熱情は感じるし、これだけ壮大な話に挑戦する心意気やよし。
本連載時に掲載紙でリアルタイムに読んでいなかったが、いかにも打ち切り然とした終わり方も、この内容なれば納得。
作者に力量が付いたら、是非またこの分野に挑戦して頂きたい。
なお、単行本に4色カラーを載せる心意気には感ずるものの、発色が今一であることよ。

カタリベ (SPコミックス)

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