蒼天航路#36(王欣太)

ようやく、10年にも渡る連載が終わった。
有象無象の三国志漫画が林立する中、『三国志横山光輝)』に次ぐ出来映え。
巻数も純粋に、『三国志横山光輝)』の60巻に次いでいるのだから、三国志を描くためには紙数と年月が必要だと言うことなのか、それとも出来がよいからこそ紙数と年月を重ねられるのか。
曹孟徳を主人公とし、孟徳の死と共に終わった作品。
三国志本来の姿である魏呉蜀の三本柱と言うより、曹孟徳と関雲長の二本柱で進められているのが特色。
テーゼとして『三国志横山光輝)』や『三国志(吉川栄治)』が厳然として存在しているがゆえにこそ輝くアンチテーゼ的な作品とも言えるが、傑作。
古くからの王欣太ファンとしては、この作品が終わった寂しさよりも、『地獄の家(GONTA)』や『HEAVEN(GONTA)』のようなセンセーショナルな作品をまた読める期待の方が勝る。
蒼天航路は美しく終わった。
さぁ、次だ。
消費者は傲慢で貪欲なのだ。

蒼天航路(36)<完> (モーニング KC)

蒼天航路(36)<完> (モーニング KC)