Advice

貴方は今まで煙草を吸わなかったが、最近になって吸い始めたとしよう。
その場合、どのような人から「健康に悪いからやめた方が良い」と言われた場合にもっとも説得力を感じるだろうか。
「煙草」は、遅刻にも浮気にもパチンコにもバイクにも置き換えられるから、貴方が一番気になっているものに置き換えて考えて見ると実感がわくだろう。

  • 1.喫煙歴の無い人(××型)

「煙草など百害あって一利なし、だから私は煙草など吸ったことがない。君も煙草などやめたまえ」

  • 2.喫煙歴があるが、今では禁煙している人(○×型)

「私も昔は吸っていたが、煙草の害が骨身に染みて禁煙した。それからはご飯も美味いし、体調も良い。君も煙草などやめたまえ」

  • 3.過去から継続して喫煙しているが、最近では減煙しているスモーカー(○○型)

「昔はばかばか吸っていて、、煙草の害は骨身に染みているので、量を減らした。完全に禁煙するとストレスが溜まるし、適度に吸う分には健康にもあまり害がない。でも、健康に悪いから、君は吸わないほうがいい」

  • 4.過去から継続して喫煙しているヘビースモーカー(○◎型)

「昔からずっと煙草を吸ってきて、、煙草の害は骨身に染みているのだが、今更止められない。しかし、君は今まで吸わずにやって来られたのだから、私のようになる前にやめた方がいい」

  • 5.最近になって喫煙を開始したスモーカー(×○型)

「昔は吸う気しなかったんだけど、最近になって吸い始めた。でも、健康に悪いから、君は吸わないほうがいい」

私ならば「1.××型」の場合以外では、他人に注意する資格が無いと感じる。
注意する資格はないが、自分の体験談的に忠告したくなるのは「2.○×型」の場合だろう。
程度の差こそあれ「3.○○型」や「4.○◎型」の場合にも他人に意見する資格が無いと思うから、雑談的に「ほんとはやめた方がいいんだけどね」くらいのことしか言えない。
「5.×○型」の場合には、そもそも他人に注意する気が起きないことだろう。

翻って、自分が注意された時のことを考えてみる。
「1.××型」の人に注意された場合には「ごもっとも」と思うかも知れないし「煙草を吸ったこともないやつにそんなことを言われても説得力はないよね」と思うかも知れない。
「2.○×型」の人に注意された場合には「煙草はそんなに害があるんだ、やめよう」と思うかも知れないし「昔吸っていたヤツにそんなこと言われてもなあ」と思うかも知れない。
「3.○○型」や「4.○◎型」、「5.×○型」の場合には「ふざけるな、お前らにそんなこと言われる筋合いはない」と反感を感じ、その上で「こいつらと同類に思われたくないから禁煙しよう」と思うかも知れない。

こう考えるとどんな相手に注意されるかだけでなく、自分がその時煙草に対してどんな思いを抱いているのか、そして、注意してくれる相手との間に信頼関係があるのかどうかが加味され、対応が決定されると言うことがわかる。

注意に効果が生じるためには、

  • 自分が煙草をやめようと意識化、無意識化において考えている
  • 相手との間に信頼関係があり、自分を本気で心配してくれていると実感出来る

の二つが前提とされていなければならない。
これらの条件が満たされていないと注意など何の役にも立たず、何を言っても無駄である。
注意も、助言も相手にそれを受け入れる素地がなければ薬どころか毒になる。
水も、肥料も、日光も、適切な時期に適切な量を与えなければ、逆に成長を阻害してしまうのである。
また、正論で相手を追いつめ、責めすぎると、嘘をつくようにもなる。

前述した二つの前提条件が満たされた上で、注意する人の立場と説得力を考えてみると、以下のような感じになるだろうか。

  • 「1.××型」:説得力100
  • 「2.○×型」:説得力50
  • 「3.○○型」:説得力3
  • 「4.○◎型」:説得力1
  • 「5.×○型」:説得力0

相手に助言を受け入れる素地が有る場合に、言いたい事を言い、大切な人に道を正して貰うためには、後ろめたくない人生を歩んでいなければならない。
そのためにも襟を正して生きていきたいものである。