My name is...

現代日本では、実名の改名は容易ではないから、大概の人は、自分の名前を選べない。
「名は体をあらわす」なんて言われても困ってしまうし、自分の名前が気に入らない人も多いだろうし、名前負けしている人も居る。
そんなことを考えるに、名字にも名前にも不満が無い自分は幸せだ。
ちなみに、私の名前は「享」と書いて「すすむ」と読む。あまり一般的な読み方ではないが、人名辞典にも載ってるし、ATOKでも、私の携帯でも「すすむ」と入力すると、順番は後になるけどちゃんと「享」と変換してくれる。
いまだ初対面の人で私の名前をちゃんと読んでくれた人は皆無で、大概は「とおる」と読まれるか、「何て読むの?」と聞かれる。
名前を伝える際にはまず「享保の改革の享」とか「享楽、享受の享」と言うのだが、大概は分かって貰えず、縁起が悪いのだが「死んだ時の享年の享」とか「なべぶたにくちにこ」とか伝えざるを得ない。
最初にいざこざした方が相手に印象が残り、自分の名前を覚えて貰えることも多いので、読みにくいことも悪いことばかりではない。
年賀状の半分が「亨」で届くのにももう慣れた。証明書などが「亨」で届き、「享」に直して貰うために再発行してもらったことも度々。「亨」なんて字よりは、「享」の方がよっぽど一般的な字で変換しやすいと思うのだが。
35年も付き合ってきた自分の名前ですもの、大概のことには慣れっこですよ。
でもね、3年以上も付き合っているお嬢様に「亨」と間違えられると、ただの変換ミスだと分かっていても、少しへこむ。
ごく普通に「進」と書かれても少しへこむ。
「武士は名を惜しむ」と言うが、それは名声の問題であり、字面の問題ではないと分かっているのだが。
だから、他人の名前は間違えないように気を付けている。
また、仕返しに、自分の子供には絶対に誰も読んでくれないような名前を付けてやろうと思う。