駿河城御前試合 -南条範夫原作集#上,下（平田 弘史）

残酷系侍漫画。駿河城御前試合の漫画化と言えば、現在チャンピオンREDで連載中の『シグルイ（南条範夫/山口貴由）』がすぐに思い浮かぶが、平田弘史版は1966〜1967年作とのこと。漫画と言うよりも絵物語（絵の横に本文や台詞が）的な手法を取っている部分もあり、その部分は時代性を感じさせる。また、紙数が少ない中に無理矢理原作を詰め込んだ感もあり、ストーリー把握が難しい回も有る。しかし、全体から迸る熱気と言うか迫力がそれら時代性や構成の拙さを凌駕し、現代においても色褪せない輝きを有す。元々南条範夫と平田弘史の作家成が類似していたと言うべきか、平田が南条の影響を受けたと言うべきか、平田の脚色、演出が強いのかは分からぬが、既読の平田作品の描く世界に極めて類似した世界が展開される。その差異を確かめるため、原作である『駿河城御前試合（南条範夫）』を読みたいのだが、惜しむらくも絶版である。
また、作品の舞台が駿河、特に掛川周辺であり、現在静岡市駿河区に在住し、掛川界隈で良く仕事をしている身としては感慨深い。
大人の漫画読みにとっては必読の作品であるが、女子供には理解し得ない世界であろう。

駿河城御前試合―南条範夫原作集 (上) (レジェンドコミックシリーズ―平田弘史作品 (5))

駿河城御前試合―南条範夫原作集 (下巻) (レジェンドコミックシリーズ―平田弘史作品 (5))