55歳の地図(黒咲一人)

熟年放浪漫画。作者は往年の中堅漫画家だが、漫画の依頼がなくなり(自称リストラ)、「死場所」を求めて四国八十八箇所巡りに出かける。その体験を綴った作品であるが、似た傾向の『失踪日記吾妻ひでお)』よりも陰惨である。このような経験を作品に昇華させるためには、表現力と共に客観性がなければならないのだろうが、本作は主観表現に振られすぎている上に、己の内面に対する掘り下げも足りないのではないだろうか。『失踪日記吾妻ひでお)』と読み比べると面白い。

55歳の地図 (ニチブンコミックス)

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