のだめカンタービレ#1〜13(二ノ宮知子)

クラシック音楽漫画。『おさなづま(森高夕次/あきやまひでき)』の漫画中漫画である『めぐみのピアノ』のような内容かと思いきや、現代的な漫画。
『めぐみのピアノ』がオマージュしている昔の漫画は、逆境*1の主人公が、努力と根性を頼りにのしあがるストーリーが多かった。しかし、昨今の漫画は時代背景に合わせ、中〜上流過程に育ち、最初から才能にあふれていることが多い。読者はそう言うキャラクターに共感するのだろうか。本作の主人公、のだめは天性の才能を持ち合わせているピアニストであり、その才能をいかに生かせるかだけが問題である。昔の漫画であれば、「うだうだ言ってないでちゃんとやれ」と妬まれかねないキャラクターである。また、主人公の一人、千秋のキャラクターなど、「才能に満ちあふれ、家は金持ち、飛行機に乗れないと言うちょっとした弱点はあるものの順風満帆な人生」である。彼は努力しているが、そんなことを言えば、『巨人の星梶原一騎/川崎のぼる)』の花形満も同条件である。しかし、花形はライバルキャラであり、千秋は主人公。昨今の読者は好条件のキャラクターに反発を覚えないのだろう。
音楽漫画としては出来がよいが、音楽漫画は、音が聞こえないからつらい。『サルまん竹熊健太郎/相原コージ)』でとうに指摘されていることではあるが。

のだめカンタービレ(1) (講談社コミックスキス (368巻))

のだめカンタービレ(1) (講談社コミックスキス (368巻))

*1:貧乏、障害、孤児など:梶原漫画に顕著