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うちの父親は値切ると言うことをしないし出来ない。特に気が弱いわけではく、田舎の商店街の理容店主であったため、値切られたこともないし、値切るのが必要な状況になったこともないのだろう。買い物の際には、信用の出来る店舗に赴き、必要事項を述べれば、プロたる相手がそれに適したものを選んでくれて、値段も適正価格で対応してくれる。田舎の地域社会ではそれが当たり前であったのだろう。それを「甘い」と言うのは簡単だが、古き良き日本社会であったと言うべきだ。
ところが、最近では、しっかりと自己主張をして駆け引きが出来ねば、食い物にされるようになってきたのではないだろうか。
先日、不動産物件を探す際に、最初に昔ながらの不動産屋に行った。そこでは、誠意有るプロとしての対応をして貰ったのだが、いかんせん、手持ち物件数が少なく、丁度良い物件に出会えなかった。そこで、駅前に進出している大手チェーン系賃貸物件紹介所に赴いた。ここは不動産情報誌なども出版しており、最近勢いがいい。最近急激に伸びていると言うことは、たたき上げの社員が居ないと言うことでもあろう。店内には資格も何も無さそうな若い営業が多数居る。私の担当に着いたのもそんな若いけどやる気はありそうな営業だった。条件を述べて探して貰ったところ、丁度良い物件があったので、それを頼んだ。
何日かして、契約の事務手続きをする際になってから「物件情報に礼金0とあったが、あれは誤記載なので、礼金を1ヵ月分払って貰いたい」と言う。法人契約だから、敷金や礼金など気に留めていなかったのだが、その身勝手な物言いに少しカチンと来た。「不動産会社のミスなのに、こちらにツケを回すのは筋違いだろう」と言うと、「それでは大家さんに迷惑がかかります」だと。ふざけるな、大家に迷惑をかけるのは私ではなく不動産会社だろ。「単純ミスとかがあるのはわかるから絶対に払わないとは言わないが、おたくの上司や大家さんと協議して誠意を見せて下さい」と返答した。上司共々菓子折でも持参して来るかな、と思っていたところ、翌日に「やっぱり礼金はなしでいいです」とのこと。おい、ちょっとごねたらいきなり7.1万円がチャラになるんかいな。
そして、次には「入居前に部屋の抗菌加工を皆さんにして貰っているんですよ」と言う。退去時にクリーニング等で金を取られるのならば理解出来るが、何故、入居前。しかも、3.5万円だそうで。なんじゃそりゃ、と説明を求めても「光触媒で害虫やネズミ等が出にくく云々...」と食い下がられる。「築4年のRC造なのに、そんなに害虫の多い物件なのか?そうだとしても、処理は大家の責任だったり、入居者の任意でやるものではないのか」と言っても若い営業がマニュアル通りに対応するだけで埒があかない。上司か大家を出せ、と言うと「絶対にして貰わなければならないと言うわけではありませんから...」と引き下がられる。だったら最初から任意だと言え。ふざけるな。この時点でこの会社、そして営業に対する信頼感0。
更には、「鍵を交換して貰いたい」だと。これも退去時に言われるのならばまだ分かるが何故入居時に。しかも、何故そんなに高いのか説明を求めると、防犯効果の高いディンプル錠に交換すると言う。グレードアップするのは大家の仕事だろう。しかもまたも「皆さんにして頂いているんですよ」だと。再度ぶち切れそうになりながら、それは強制なのか、そうだとしたら、契約時に話しておくべきではないか、と問いただすと「絶対にして貰わなければならないと言うわけではありませんから...」と引き下がられる。
「とりあえず当たり前のようにふっかけてみる」のがこの会社の商法だと判明。ふざけるな。会社のマニュアルでそれをすすめることになっており、しかも契約を取ったら業者からバックがあり、営業個人にも歩合制でバックがあるのではないだろうか。
ここまで来ると、何を聞いても信用出来ないから「入居者には全て2年で2万円の火災保険に入って貰ってるんですよ」と言われても鵜呑みには出来ない。「それは強制なのか、だとしても保険のコースなどは選べないのか」と言うと、家財道具の補償額が少ない1.5万円のコースも有りますと言う。選択肢があるのならば最初から言え。単身者で家財道具が少ない場合には家具の補償額など安くても十分なのは分かり切っていることだろう。
何やかやで向こうの言うがままにしてるよりも、10万円以上浮いた。と言うか、素直に従っていたら、10万円以上ぼられていたと言うべきだ。うちの父ならば全て払っていたかも知れない。いや、父ならば縁故で信頼出来る不動産会社に頼んでいただろうから、こんな「とりあえずふっかけてみる」業者にはあたらなかったことだろう。
担当営業個人がハズレだったのかも知れないが、そんな営業を雇ってそのように仕事をさせているのは会社の責任です。どうにも信用出来ません。ハウスコ*1さん。