武神戯曲#2(上田宏)

京劇漫画。主人公がタイムトリップして1920年代の北京へ...との設定はありふれている。主人公を狂言回しとすれば、解説しやすくなるし、感情移入しやすくなると言うのは分かるが、作品全体が陳腐な感になるのも否めない。京劇なんてまったく心得もないのだが、それなりには楽しめる。同僚である漢人の子供達の感情表現、思考パターンが現代日本のそれと大きく異ならずに描かれているが、中国人と日本人のメンタリティーの差は大きいし、80年前となれば更だろう。漢民族中華思想、利己主義などをもっと表現して貰いたい。同様に、特殊な題材を扱っていても、『ヒカルの碁ほったゆみ/小畑健)』や『アイシールド21稲垣理一郎/村田雄介)』のように一般性を獲得する程にまで洗練されていない。やはり専門知識を要する作品には原作者が必要なのか、それともメジャー誌とマイナー誌の底力の差なのか。中国好きな者にしか奨められない作品。

武神戯曲 2 (電撃コミックス)

武神戯曲 2 (電撃コミックス)