武神戯曲#2(上田宏)
京劇漫画。主人公がタイムトリップして1920年代の北京へ...との設定はありふれている。主人公を狂言回しとすれば、解説しやすくなるし、感情移入しやすくなると言うのは分かるが、作品全体が陳腐な感になるのも否めない。京劇なんてまったく心得もないのだが、それなりには楽しめる。同僚である漢人の子供達の感情表現、思考パターンが現代日本のそれと大きく異ならずに描かれているが、中国人と日本人のメンタリティーの差は大きいし、80年前となれば更だろう。漢民族の中華思想、利己主義などをもっと表現して貰いたい。同様に、特殊な題材を扱っていても、『ヒカルの碁(ほったゆみ/小畑健)』や『アイシールド21(稲垣理一郎/村田雄介)』のように一般性を獲得する程にまで洗練されていない。やはり専門知識を要する作品には原作者が必要なのか、それともメジャー誌とマイナー誌の底力の差なのか。中国好きな者にしか奨められない作品。
- 作者: 上田宏
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2004/04/27
- メディア: コミック
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