コミックマスターJ#11(田畑由秋/余湖裕輝)

燃えよペン島本和彦)』、『吼えろペン島本和彦)』に比肩する漫画家漫画。タイムリーに時事ネタを扱っており、11巻のネタは新古書店と漫画著作権問題やネットゲーム、書店万引き問題など。
新古書店の主利用者は月お小遣い5000円の高校生や年収200〜300万円のフリーター、年収400〜500万円のサラリーマンなどの若年で低所得層である。長者番付に名を連ねる漫画家達がそれら若年層相手に「私達の権利を守って下さい」と訴えて説得力があると思っているのだろうか。金満は一部の漫画家の話であり、それ以外の漫画家の生活は苦しいとするのならば、問題は著作権問題ではなく、利益の分配方法にあるのではないか。印税の分配方法や再販制度の見直し、コスト縮減など、業界内の自助努力を尽くしてから他に助けを求めるべきだ。私は大衆なので、筋や理屈ではなく、感情で物事を判断するのだ。
年俸5億円の選手を抱えていて赤字だから助けて下さいと言っている近鉄にも同様の感情を抱く。公的資金を注入された金融機関の従業員給与や退職金に異を唱える人は多いのに、赤字球団の年俸への異論を寡聞にして聞かない。自分の年収の100倍以上の年俸を貰っている連中を助けるため、自腹を切る連中が居るとしたら、それはもはや宗教的を通り越して喜劇的ですらある。赤字球団だけではなく、黒字球団も存在するのだから、プロ野球も漫画界と同様、利益の分配方法に問題があるのではないか。高騰しすぎた年俸によって問題が生じているのはMLBも欧州サッカー界も同様であり、同様に崩壊しつつある。一時的なインフレーションが生じているのならば、小手先の調整ではなく、根本的に収束させなければ全てが立ち行かなくなるだろう。