Green onion

このサイトを閲覧している人の大部分はご存じだろうが、私は、ネギ系の食物が嫌いである。晒し足りないオニオンスライスや白ネギは特に嫌いだし、普通のネギや博多万能ネギも出来れば勘弁して貰いたい。すき焼きに入ってくる熱々の太ネギも苦手だ。ネギ臭い女とキスするくらいなら、納豆臭い女や煙草臭い女を選ぶ(煙草飲みで、ネギ入り納豆を食べた直後の女が最悪と言えば最悪だが)。
子供じみた偏食と言われても、開き直っていた。食べられないと言う程ではないし、全ての食物を好きにならなければならいいわれもないと考えていたから。
とは言え、自炊しない食生活では、ネギを完全に排除するのも能わず、やむを得ず食す生活を32年間続けてきた。
しかし、果たして、私は本当にネギが嫌いなのだろうか。ちゃんと火の通った玉ネギは苦手ではない。エシャロットやアサツキに関して苦手意識はない。ニラやプリングルスのサワーオニオン味に関しては積極的に好きだ。
子供は、味蕾が多く、舌が敏感であり、ニンジン、ピーマンやネギなどが苦手である。しかし、長ずるにつれ、味蕾や神経細胞は減少するため、刺激物に対して鈍感になる。この鈍化をもって味覚の成長と捉える風潮もある。
私がネギを32年来苦手としているのは、本当に嫌いなのではなく、幼少時の刷り込みとその後の思い込みなのではないか。夕食にみそ汁の薬味であるネギを食べながら、はたと、そう思い当たった。
一日に一回、5分間我慢して食べている時間があるとすると、一ヶ月では150分、一年では30時間も我慢していることになる。これから先、40年の余命があるとすると、1200時間、なんと50日分にもなる。考えてもご覧なさい、自分の嫌いな食物を不眠不休で50日間も食べ続けている様を。
もしも、ネギ系の食物に対する苦手意識がなくなれば、これら負の食事時間を減少させることが可能である。これは、十二分に挑戦する価値がある。
ネギに対する見方を変えよう。未知の香味野菜として、虚心坦懐に受け止めれば、きっと大丈夫。好きにならないまでも、苦手意識を無くそう。
明確な意志をもって習慣付ければ、為し得ないことは何も無い。
先日、ダイエットを成功させて、自信を付けたのだ。
なお、私に会った際、「ネギ、嫌いじゃなくなったんだよね」などと言って、特にネギを食べさせようとすることを禁じる。好きになる意志も自信もないので。