Aptitude or effort

巷間頻りに話題にされる「才能か努力か」と言う問題は、命題たりえない。なぜならば解答が論理的に択一性を有さないからである。であるがゆえにこそ「努力を続けられることが才能である」などと言う問答めいた解答も不正解ではない。
命題たりえない問題ではあるが、あえて択一するとすれば、私は「努力」あるいは「継続」こそが力を生み出すと考える。「努力」「継続」をなしえるためにもっとも大切なものは動機:motivationの持続だが、高い水準でmotivationを持続させるのは難しい。
それは、motivationの原動力となるincentive:報償を長期的に安定して確保するのが難しいからだ。
incentiveにはいろいろな種類が有る。金銭は最も代表的なincentiveであるが、他にも社会的incentive、脳内快楽物質incentiveなどがある。人間はどんな刺激にも慣れる能力を持つ。これは良く言えば適応能力であるが、時を追うにつれincentiveを低下させる働きを有する。
さて、比較的飽きっぽい性格の私だが、何故飽きっぽいのかを分析してみるに、おそらく「習得エンドルフィン」好きなのが最大の原因だ。一般に、物事の習得は時系列に対して最初は急速に上昇し、徐々にその角度を減じるような二次曲線を描く。傍目には上昇率が果てしなく0に近づいた段階でも、努力や鍛錬はちゃんと効果を上げている。しかして、私はこの段階に至ると得られる習得エンドルフィンが少ないがゆえに、もっと安易に習得エンドルフィンを得られる方向に転じてしまうのである。これではいけないと自認してはいるのだが、いきおいそういう方向に走ってしまう。
転職したばかりの現在、金銭的incentiveもさることながら、習得エンドルフィンも大量に獲得しており、高いレベルでmotivationを維持出来ている。しかし、これから先、習得エンドルフィンの獲得量は次第に減じて行く事だろう。そうした時にいかにmotivationを維持して行くか、今から対策を立てておかねばなるまい。
最近ご無沙汰しているダーツにおいて、高いレベルでmotivationを維持していた後輩がAフライトに達すると言う成果を出しているのを見てそんなことを考えたのだよ。