宇宙世紀科学読本 -スペース・コロニーとガンダムのできるまで(永瀬唯)

ガンダム宇宙世紀世界を題材にした二足歩行ロボットやコロニーに対する科学読本。身近な題材を用いて科学を啓蒙した作品には、名著『ロウソクの科学(ファラデー)』や、名随筆『茶碗の湯(寺田寅彦)』などが挙げられる。私にとっても、今の若者にとっても、下手な歴史や事実よりも身近に感じられるガンダムを題材にするのは、科学啓蒙するのに有用な方法だ。この手の本はアニメの荒唐無稽さを笑い物にすることが多いのだが、本書は真面目にロボット工学やコロニー理論を紹介している。ロボット工学やミノフスキー粒子はおいておくにしても、ガンダムのコロニー理論が荒唐無稽でないのは、元々、オニールのスペースコロニー論に基づいており、科学考証がしっかりしていたからだろう。少し古い内容だが、ガンダム好き、宇宙好きにはお勧め出来る真面目な一冊。