プチクリ(岡田斗司夫)

プチクリとは、プチ・クリエイターの略で、岡田斗司夫の造語である。それで生計を立てているクリエイターをプロクリ(プロ・クリエイター)と、それで生計を立てて居ないクリエイターをプチクリと定義し、「楽しくクリエイトすることが大切であり、プロである必要はない」と言う。確かに、プロクリの方がレベルが高いことが多いが、創作の質はプロかアマチュアかだけで決まるわけではない。また、生計を立てることにこだわらなければ自由に楽しく創作が出来るかも知れない。インターネットの普及、収入の増加など、現代社会はプチクリにとって有利な方向に変貌し、「プロでない=負け犬」ではないと言う価値観の提示と共に岡田斗司夫の主張は説得力を持つ。
私も、こうして本のレビューや、blogの執筆を続けているのだから、プチクリの一人なのだろう。そして、貴方も勿論、いつでもその意志と自覚があればプチクリになれる。プチクリになるのに必要な才能は「何かを好きであること」だけだと言い、表現技術を磨くためには「継続は力なり」と言う。
クリエイトによって他人に影響を与えることをよしとする発想は岡田の前著『ぼくたちの洗脳主義社会』に詳しいが、『ぼくたちの洗脳社会』では「影響力の強い方が勝ち」との価値観であり、プチクリよりもプロクリを評価していたように思う。 しかし、本作では「プロでなくてもいいじゃん、楽しければ」と今までの岡田の主張とは異なる語調である。岡田の人間が円くなったのか。
内容的には不満がないが、この文字数、内容でこの値段は不釣り合い。立ち読みでも十分に読めるボリュームだし、古本や文庫が出るを待つが吉。

プチクリ!―好き=才能!

プチクリ!―好き=才能!