And I love her

父は朝からうきうきと出支度。60近いのに、口ひげ、パーマ、アルマーニのシャツ、リーバイスのブレイクジーンズ。襟元にはプラチナ喜平のネックレス、腕にはロレックス、携帯にはヴィトンのキーホルダー、財布もヴィトンと、田舎親父丸出し。
父と二人だけで温泉行は間が保たないと危惧したため、同行をお願いしたお嬢様が昼前に来宅。この3人連れでは、「親孝行な息子(娘)夫婦」ではなく、「田舎風LEON親父と名古屋嬢NIKITA娘、その運転手」にしか見えないのではないだろうか。
父のプラドで一路西へ。途中、天竜浜名湖鉄道トロッコ列車*1を追い抜いたため、急遽、父とお嬢様が次の寸座駅から乗車し、私が三ヶ日で拾う段取りに。寸座駅で降ろし、三ヶ日に向かう途中で携帯に「列車に乗せて貰えなかった」と連絡が入り、また寸座駅に戻る。今、サイトで確認したところ、寸座駅には止まらない。やはり思いつきだけで行動してはいかん。気を取り直し、西へ向かい、湖西市利木の、『MOIMOI-beach cafe』へ。オープンテラスでmoimoiカレー、パスタ、シフォンケーキ、ニューヨークチーズケーキなど食す。父は昼からビール、お嬢様はご相伴。
食後は蒲郡の西浦温泉へ。日帰り入浴させてくれるホテルを物色し、海に面して見晴らしの良さそうな「西浦グランドホテル吉慶*2」へ。一人1000円。昔ながらの観光ホテルといった趣だが、従業員の教育は行き届いており心地よい。しかし、一人1000円の日帰り入浴客なれば、あまりにも丁寧な態度に申し訳なし。6階の展望風呂は見晴らしよし。来る車中でもテンション高く喋り通しだった父は、ここでも他の客とフランクに雑談を開始する。さすが、床屋の親父。
17時頃、帰りがてらラグーナ蒲郡へ。ここでも父とお嬢様はヤマサのちくわをつまみにビール。風呂上がりのピールはやめられないのだろうが、わしの立場は?(勿論、ただの運転手...)
父の今日の服で画竜点睛を欠いていたナイキのスニーカーをやめさせるべく、ABCマートで革スニーカーを物色するが、父は私の言うことに一切耳を貸さず、お嬢様にのみ「どっちがいい?」を繰り返す。母亡き後、父はいつもこうやって飲み屋のねーちゃんに服なんかを選んで貰っているんだろうなあ。黒白ツートンの革スニーカーを購入。
ラグーナを出て、浜松へ戻り、居酒屋「若大将」へ。ここにも父のボトルが入ってる。料理長で幼馴染みのりえちゃんに「テンション低いじゃん」と言われるが、一人シラフで、実父と彼女に囲まれてテンション高くなどなれぬ。お嬢様が上手く盛り上げてくれて、父は終始ご機嫌。
若大将を辞し「社会勉強のため」と言う父に連れられ、フィリピンオカマショーパブ「ムッシュT」へ。中一日で、実娘と息子の彼女をこんな店に同伴する父のバイタリティーに感心する。お盆には義理の息子をフィリピンパブで接待していたらしいので、これが父一流のもてなしなのだろう。
店内にはオカマが4人。馴染みの父は人気者。オカマは全て胸があり、下もカット済み。お嬢様は大喜び、父も和んでいるが、私は複雑な心境。ここでも「テンション低い」「もっと楽しまなきゃ」と言われるが、実父、彼女を前に、シラフで、オカマ相手にどうしろと?
お嬢様には「セクハラ大好きなんだから好きなだけセクハラしなさいよ」と言われるが、こっちの手を男の力で掴んで自分の胸や腰に持っていって大喜びするオカマに出来るセクハラなどない。相手が嫌がるからセクハラと言うのよ。どうにもはっちゃけられない。
とは言え、最近、女にもゲイにももてなかった私がここではオカマにモテモテ。フェロモンを全面に出さず、はにかんだ感じがもてるのか。娘さん相手にもそう言う手管を使ってみようかしらん。
ショータイムなど楽しみ、2時頃退店。父もお嬢様も満足の様子。お嬢様を自宅に送り、ろれつの回らぬ父を伴い帰宅。
今日一日、お嬢様は望外に「機転と気が利く利発なお嬢様」を演じてくれた。自分の父ですら鬱陶しいと思うのに、他人の父相手に繰り言を聞いて相づちを打って貰い申し訳なし。ただ、感謝。感謝。