Life index

他人の部屋を見るときに、気になるのは、本棚と冷蔵庫とトイレだ。
本棚は知的背景と、冷蔵庫は食生活と、トイレは几帳面さと相関が高く、人間性を推し量る指標となる。
本棚を見る際には注意が必要だ。本棚がそのまま主の教養と直結しているわけではない。積ん読コレクターや、本をただのインテリアと考える人たちには割引補正が必要だし、本を消耗品と考えていたり、図書館を常用していたり、古本屋を常用している場合には割増補正が必要となる。しかし、本棚の本の方向性は、知的方向性と一致しているだろう。
本の取り扱いもまた、人間性を推し量る指標だと言える。
学生の頃は、知的コンプレックスを抱いていたので、本棚に本を置くのが嬉しかった。若気の至りで、手前に英語の専門書や岩波文庫文庫クセジュを置き、その奥に河出や早川、創幻推理、さらにその奥に角川や講談社を置き、朝日ソノラマや角川スニーカーは古本屋に売り払ったものだ。
それが今では、部屋に本棚を置いていない。図書館で借りることも多いし、読了した本は古本屋に売るか、人にあげるか、実家に送るかしている。自分の知性に自信が付いたため、書と言う装飾に必要を感じなくなったせいだ。
内面の変化が、本の取扱いを変えた一例と言えよう。
本の雑誌に連載されていた『吉野朔実劇場 弟の家には本棚がない(吉野朔実)』が5/20に発売される。我が愚弟のアパートに、一応本棚はあったが、お情け程度。勉強してるのか?


他人の冷蔵庫の中身を見る機会に恵まれないが、だからこそ興奮する。食材の種類や量のみならず、食材の保管方法とか、置き方とか、清潔度とか、面白くてたまらない。
清潔で、食材の趣味が良く、使いかけの食材をきっちりタッパーに入れたり、ラッピングしたりしてある冷蔵庫を見ると嬉しくなるし、朽ちている食材達を見ると寂しくなる。
我が家の冷蔵庫なんて、見ても全然面白くない(来客用ワイン、来客用ビール、来客用カルーアコーヒーリキュール、風邪時用ウイダー・イン・ゼリー、消毒用エタノールシーブリーズボディーローション、ポット入りジャスミンティー、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、アップルジュース)。

トイレもまた楽し。昨日紹介した友人宅のトイレなど、三年間一度も掃除されていないばかりでなく、つい先日まで便座部分の片側が折れて欠落していた。どうやって用を足すのか不思議だが、慣れればどうにかなるものらしい。ごく最近、残った片側も破損したため、渋々交換したのだが。
女性宅で楽しいのは、便座を上げた状態がどうかと言うことだ。便座を上げた状態での汚れ方で男出入りや、掃除の仕方が推し量れる。
部屋と主の人間性は、話せば尽きない。更に、自分好みの部屋にしたいものだが、今のアパートでは手狭だ。引越したいものだ。