Respect

10代の頃、「尊敬する人は誰ですか」との質問に、困惑していた。
小器用な者は、面接試験で両親とか、恩師、偉人などを挙げていたが、私には「尊び敬う」ということがどういうことなのか、良く分からなかった。崇拝する様な対象は身辺に居なかったし、とは言え、偉人などでそこまでこだわりのある対象も無かった。
「模倣は最大の賛辞である」との言があるが、これを拡大解釈すると、尊敬の定義が明確になる。すなわち、「尊敬とは、模倣したくなる心である」「模倣は尊敬の現れである」。
私は、父の職業を継ごうとはしなかったから、少なくとも、職業の面では、尊敬していなかったのだろう。機知の洞窟探検家は川口浩だけだったが、洞窟探検を始めたのだから、川口浩を尊敬していたのだろう。
様々な人物に敬意を抱き、その尊ぶべき点を模倣し、集大成させて、今の自分があるのだと思う。きっと、尊敬って言うのは、そう言うことなんだと思う。
翻って、現在の自分に最も影響を与えた人物とは誰なのかと考える。
何だかんだ言って、大学院時代の指導教官の言を取り込み、自分なりに解釈して用いている自分に気付く。後輩などに何かを説く際、背後に先生が居る感じだ。
学生の時は、いつも回りくどく観念的な言に困惑し、憤りも、嘆きもしていたのだが、その影響を再認識するに、今更ながら尊敬の念が芽生えてくる。くやしいことに。